こんにちは。湯梨浜町議会議員の中森です。
びっくりするニュースがあったので、ブログで取り上げたいと思います。なんと、文科省で生徒指導提要を改訂するようです。
上記NHKの記事によると、文部科学省は、小学校から高校までの生徒指導の手引き(=生徒指導提要)を12年ぶりに改訂するために、有識者たちと議論を進めていたようです。そして8月26日に改訂案が取りまとめられました。
「いじめ」や「発達障害」、「性的マイノリティー」など様々な記載がある中で、今回は、「校則」についての扱いについて新旧生徒指導提要を比較してみます。
平成22年に作られた「生徒指導提要」では、校則の運用については、下記のように記述されています。
校則の指導が真に効果を上げるためには、その内容や必要性について児童生徒・保護者との間に共通理解を持つようにすることが重要です。そのため、校則は、入学時までなどに、あらかじめ児童生徒・保護者に周知しておく必要があります。その際には、校則に反する行為があった場合に、どのような対応を行うのか、その基準と併せて周知することも重要です。*1
児童生徒・保護者に校則の内容や必要性について、事前に周知しておく必要について記述されていますね。逆に言うと、どのように周知するのかについては、まだ言及がなかったと言えます。
そして昨年2022年6月8日(ちょうど、湯梨浜町議会の6月定例会の一般質問直前です)に、文部科学省の事務連絡として「校則の見直し等に関する取組事例について」が文部科学省から出されました。そこでは、学校のホームページに校則を掲載する例を紹介しています。
校則の内容の見直しは,最終的には教育に責任を負う校長の権限ですが,見直しについて,児童生徒が話し合う機会を設けたり,PTAにアンケートをしたりするなど,児童生徒や保護者が何らかの形で参加する例もあるほか,学校のホームページに校則を掲載することで見直しを促す例もあります。*2
あくまでも、校則の内容の見直しは、校長に権限があります。ただ、校則に基づく指導に違法性があるという「黒染め強要訴訟」が起こったり、生徒たちが校則にあり方に異議をとなえるような状況が起こっていました。
そして、今回の生徒指導提要の改訂案では、事務連絡で紹介していたホームページでの校則の公開に加えて、校則の制定した背景についての表示についても言及しています。
校則の内容については、普段から学校内外の者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、それぞれの決まりの意義を理解し、児童生徒が主体的に校則を遵守するようになるためにも、制定した背景についても示しておくことが適切であると考えられます。*3
誰もがルールを参照できるようにする。これは大事なことだと思います。NPOカタリバのルールメイキングに関する記事でも、教員の方が生徒手帳に書かれている校則は共通の認識があるけれど、生活上のルールやマナーに関しては、先生の間でも微妙に認識が異なったらしいです。先生間でも見解が異なっていれば、なかなか生徒指導も難しくなるのではないでしょうか。*4
それでは、湯梨浜町の小中学校の取り組みはどうような状況なのでしょうか。昨年に私も一般質問を通じて、教育長に聞きました。
keijironakamori.hatenablog.com
そのときの教育長の答弁では、
- 町立小学校・中学校においては適宜校則は見直されている
- 校則を学校ホームページで公表すること、見直し状況を公表することについては、学校長が判断する事項である
と述べています。2022年8月31日現在、校則に関しては町立小中学校で公表はしておらず、東郷小学校で「学習のてびき」が公表されるにとどまっています。
教職員の負担を増やすようなことは議員としてあまりしたくないのが本音です。しかし、学校も一つの社会であり、その中に所属する生徒たちが学校のルールについて意見し、議論し、仕組みを作ってほしいと思います。
追記:2022年9月2日10:00
- 導入部分をリライト
- 過去記事リンクを追加
*1:文部科学省(平成22年3月)「生徒指導提要」文部科学省、URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/04/27/1404008_03.pdf(参照日:2022年8月31日)
*2:文部科学省(2022年6月)「校則の見直し等に関する取組事例について」文部科学省、URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00004.htm(参照日:2022年8月31日)
*3:生徒指導提要の改訂に関する協力者会議(2022年8月)(案)「生徒指導提要」文部科学省、URL:
https://www.mext.go.jp/content/20220825-mxt_jidou01-000024689-2.pdf(参照日:2022年8月31日)
*4:Katariba Magazine vol.176「校則・ルールは誰のもの?みんなのルールメイキングvol.3」認定NPO法人カタリバ、URL:
https://www.katariba.or.jp/magazine/article/report210218/ 参照日:2022年8月31日