中森圭二郎のブログ

湯梨浜町町議会議員、中森圭二郎の活動報告

湯梨浜に若者の居場所を作ろう

こんにちは。湯梨浜町議会議員の中森です。

3月定例会で町長に質問する内容が決まったので、ご報告します。今回は、「湯梨浜に若者の居場所を作ろう」というテーマで一般質問する予定です。

2023年3月定例会中森圭二郎一般質問通告書

9月、12月の定例会に続き、若者関係の一般質問です(過去の記事は下記から読めます)。

keijironakamori.hatenablog.com

keijironakamori.hatenablog.com

居場所づくりの必要性

現在、国はこどもの健やかな成長や安心して過ごすことのできる場づくりの整備を進めようとしています。

安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや体験ができ、幸せな状態(well-being)で成長できるよう、家庭、学校、職域、地域などが一体的に取り組む*1

具体的な場所としては、放課後児童クラブや児童館、青少年センター、学習支援の場などの様々な居場所(サードプレイス)が挙げられています。

特に児童館は、こどもが自ら選んでいくことができる施設であり、こどもが有する権利を保障する施設であることから、居場所づくりにおいて大きな役割を果たすと期待されています。

4 社会的責任

(1)児童館は、子どもの人権に十分に配慮し権利擁護に努めるとともに、子ども一人ひとりの人格を尊重し、子どもに影響のある事柄に関して、子どもが意見を述べ参加することを保障する必要がある。*2

また、児童館は主に小学生に利用されているものの、今後は中高生世代の活動・支援の場としても期待されています。私の問題意識も、中高生世代の活動の場にあるので、これからはそこに焦点を絞って書いていきます。

湯梨浜町の児童館

では、実際に湯梨浜町の児童館はどうなっているのか。浜児童館、田畑児童館の館長にお話しを聞いてきました。

そこでは、コロナ禍で利用者は減少しているものの、放課後や休みの日に自分の意思で通ってくる地域の小学生の姿が浮かびあがってきました。特にアイロンビーズは人気のようで、町外の方も来られるほど。放課後の集合場所の一つになっていることからも、子どもたちが自分の意思で行きたい場所になっていることが伺えました。

一方で、放課後の利用に関しては、児童館に足を運べる距離に住んでいないと児童館を利用できないという面もありました。

移動児童館を実施している自治体もありますが、湯梨浜町の児童館の予算はそこまで大きくなく、職員や予算の問題で現状では実施は困難かと思います。

また、国は中学生、高校生世代の活動の場として児童館に期待を寄せていますが、小学生とは対応が異なることもあり、ノウハウがそこまで蓄積されていないという面もあります。

中高生へのポピュレーションアプローチを考える

さきほど、湯梨浜町の児童館に中高生への対応のノウハウがあまり蓄積されていないと書きました。

しかし、現状でも中高生がバスケットで遊んでいたりしており、職員研修や実際の活動を通じて湯梨浜町の児童館が中高生の活動の場になる可能性はあると思います。

問題なのは、児童館は2つしかないため、町内の中高生へのアプローチは困難であることです。そこで、既存の施設が中高生の居場所になるような事業を検討する必要があると私は考えています。

図書館、公民館は児童館と同様、社会教育の分野に含まれており、児童館の居場所機能を代替する可能性があるかもしれません。今回の一般質問の前半はその可能性について、教育長に問います。

湯梨浜町の中高生の居場所づくりをコーディネートする

図書館、公民館も児童館と同様に、中高生の対応についてはそこまでノウハウがないと予想されるので、各施設に丸投げをすることは難しいし、やるべきではないと考えます。

町として、中高生の声を受け止め、居場所づくりをコーディネートする人材が必要です。コーディネーターが各施設にアドバイスをしたり、施設を使って事業を実施することで、各施設の負担をかけず、居場所事業を進めることができます。そこで、居場所づくりをコーディネートする人材を確保し育成する点について、町長の見解を問いたいと思います。

個人的には、若い世代をコーディネーターとして雇ってほしいという気持ちがあります。町外であれば、地域おこし協力隊でもいいですが、地域の若い世代を雇うということも大切だと思うので、この点も重視して質問する予定です。

*1:内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室(令和4年4月28日)「こども家庭庁におけるこどもの居場所づくりについて」内閣府、URL:

https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2022/04/9420f2b1e97e766fa4c7a450deb907e7.pdf

(参照日:2023 年 2 月 20 日)

*2:厚生労働省子ども家庭局長(平成30年10月1日)「児童館ガイドラインの改正について(通知)」厚生労働省()、URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11906000/000361016.pdf(参照日:2023 年 2 月 20 日)

湯梨浜議会だよりvol.76ができました。

 

今回の中森の一般質問紙面

遅くなりましたが、広報常任委員会で制作していた湯梨浜議会だよりが完成しましたので、下記リンクからぜひご覧ください。

https://www.yurihama.jp/uploaded/attachment/11860.pdf

私の一般質問の紙面はこのような形になりました。

湯梨浜議会だより第76号P8

朗報!来年度から紙おむつが園で処分

子育て世帯としては、同じく一般質問された光井議員のこども園での紙おむつの処理に対する答弁も注目です。来年度から園での処理を検討するということです。

湯梨浜町議会だより第76号P12

町内園での白ごはん提供見送り

今回の議会だよりでは、一昨年から検討されていた町内こども園での昼食時に白ごはんの提供の検討に関しても進展がありました。

現在、湯梨浜町こども園では、以上児さんの昼食の白ごはんは各家庭からお弁当に入れて持参しているのですが、夏場にお弁当が蒸れたりする衛生的な問題、保護者の負担的な問題から、議会から町に各園で白ごはんの提供が可能か調査依頼をしていたのでした。

結果としては、このタイミングでの提供は難しいということでしたが、具体的な費用なども明確になり、コロナ禍による保育士・調理師さんの負担が減少していけば、実施もあり得ると思います。

ゆりはま議会だより第76号P6

今回のブログは以上になります。読んでいただきありがとうございました。

2022年12月定例会注目予算&議案

一般質問終わりました!湯梨浜若者会議(仮称)、来年度始動。

昨日(12/12)、一般質問が終わりました。若者の社会参画について、町長から一定の方針がでましたので、改めて報告したいと思いますが、速報ということで要旨だけをお伝えすると、

  • 来年1月に行われる「20歳の集い」(成人式)で若者の社会参画についてアンケートを取る
  • 来年度、「湯梨浜若者会議」(仮称)を立ち上げ、年間を通して若者に政策提案をしてもらう。対象の若者は16歳~29歳で町内在住、町内出身(町内在勤も含めるか聞き取れなかったの後日確認します)。

町長と担当課の企画課で、短い期間で事業化に取り組んでいただけることになりました。議会後、企画課課長とお話しましたが、どれくらいの若者が参加してくれるのか、若者が意見を言えるような心理的安全な空間を作れるのか、不安なところがあるようでした。

私も議員という立場ではありますが、外側からできるだけサポートしていきたいと思います。町民のみなさまも温かな目で「湯梨浜若者会議」をサポートしていただければと思います。

12月定例会補正予算ピックアップ

今回は、定例会に出されている予算についてピックアップしてみました。

なお予算の概要書は下記リンクから全て見れますので、他の予算なども見たい方はこちらからご覧ください。

https://www.yurihama.jp/uploaded/attachment/11675.pdf

それでは、

議会経常管理費(補正額:9万9千円)

・概要

ペーパーレスシステムの「sidebooks」を4月から導入し、議会、委員会がペーパーレスを可能にするよう運用中。現在は、試験的な運用として1ギガの容量で実施しているが、現在600MBを超えてきており、3月末までに不足するため、10ギガの容量を追加。

Sidebooks10ギガ増量 1か月49,500円(税込)×2か月分=99000円

・根拠法令

地方自治法第6章議会(第89条~138条)

湯梨浜町議会委員会条例、湯梨浜町議会会議規則

・財源

一般財源9万9千円。

議会活動でかなりお世話になっているsidebooks。 検索機能もついて、過去の議案や予算などもすぐに調べられる優れものです。

財産管理臨時経費

・概要

旧北溟中学校跡地の土地所有権は、本町が3分の2、北栄町が3分の1。跡地の有効利用を図るため、北栄町の土地の持ち分を取得する。

土地購入費1億3295万9000円

・財源

一般財源1億3295万9000円

北溟町の跡地利用については、たじりこども園の移転が決定しましたが、他の土地についてはまだどのような利用になるか未定です。土地購入に見合う利用になるよう議会もチェックしていきたいと思います。

地方路線バス維持事業

・概要

燃料費の上昇およびコロナ禍の影響によるバス事業の低迷により、路線バス運行に係る赤字額が年度当初見込みより増加したことによる補助金の増額補正

該当路線

  1. 西倉吉ー倉吉駅・清谷・長瀬東口ー石脇車庫
  2. 小浜ーはわい温泉・清谷・倉吉駅・西倉吉町ー西倉吉
  3. 西倉吉ー倉吉パークスクエア・倉吉駅・松崎ー北方入口
  4. 北方入口ー石脇車庫

・根拠法令

(国)地域公共交通確保維持改善事業費補助金交付要綱

(町)湯梨浜町補助金等交付規則・湯梨浜町高齢者定期券購入費助成要綱

・財源

一般財源 665万円

費用はかかりますが、公共交通の維持は重要な課題だと考えます。

路線バスの利便性を知ってもらおうと、日の丸自動車が下記のような試みを行っています。金曜日に(関わらず)バスをご利用ください!

hinomarubus.co.jp

若者夫婦・子育て世代住宅支援事業

・概要

当該補助金の交付件数が当初の想定(47件)より増加する見込み。それに伴う増額補正。今年度の交付見込みは、59件(羽合40件、東郷15件、泊4件)。

・根拠法令

湯梨浜町若者夫婦・子育て世代住宅事業補助金交付要綱

・財源

地方債(過疎対策事業債)マイナス190万円、一般財源913万2000円

羽合地区を中心に住宅の増加が増えています。一方で、子どもが過ごせる施設やサービスの更新が進んでいないので、議会で何とか取り上げていきたいと思います。

教育・保育給付費負担金

・概要

保護者の就労要件やニーズによって、他市町の公立保育所認定こども園幼稚園に入園した児童に適切な教育・保育を提供するため、他市町の公立施設については、運営する市町村に、私立施設については、運営する法人に教育・保育を委託するとともに、請求に基づいて国の基準額で算入した入園児童数分の施設型給付費を支払う。

転入等により当初見込み(28人)より入園数が15人増加したことによる増額補正。

・根拠法

子ども・子育て支援法による施設型給付費、児童福祉法

・財源

国庫支出金357万1000円、県支出金251万2000円、一般財源1165万6000円

町外の入園が想定より増えています。3月の議会では保育士の確保が困難だと聞きました。それと関係あるのかどうか、経緯を教育民生委員会で質問したいと思います。

子宮頸がん予防ワクチン接種事業

・概要

①町内の小学6年生から高校1年生の女子に対し、子宮頸がん予防ワクチンの定期接種を実施。

②H9年4月2日からH18年4月1日までの間に生まれた女子を対象に公費負担での接種

上記の接種者の増加に伴い委託料を増額し、R5年度の接種券送付のための予算計上するもの。

・根拠法令

予防接種法湯梨浜町子宮頸がん予防ワクチン接種実施要綱、湯梨浜町予防接種費用助成金交付要綱

・財源

一般財源 492万4000円

積極的な勧奨を差し控えた時期に対象だった方を対象にした、いわゆる子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種です。

今回のブログは以上になります。読んでいただき、ありがとうございました。

若者の社会参画の推進を!

若者政策を進めるために、若者条例制定の検討を。

 こんにちは。12月定例会も近づき、今回の一般質問の内容について、ブログを書こうと思います。(今定例会の補正予算についても追って書きたいと思います。)

 少しさかのぼりますが、9月定例会の一般質問で「若者が町づくりに参加できる仕組みを」というテーマで質問しました(詳細は過去ブログを参照)。今回は、その関連の質問です。

keijironakamori.hatenablog.com

 前回の町長の答弁では、<町として若者との意見交換会を行いたい>という前向きなものでした。(まだ、9月定例会の議事録が出来上がっていないので、前回ブログで載せた議会だより75号の一般質問の紙面を下記に載せています。)

ゆりはま議会だより75号

 実は9月定例会の一般質問では合計三つの質問をしていて、あまり若者の社会参画について時間を割いて質問できていませんでした。そこで、今回12月定例会では、具体的に湯梨浜町が若者の社会参画にどのように取り組んでいくのかを聞いていきたいと思います。

本当に若者が社会参画できている?「参画のはしご」

 町長に具体的に質問するにあたって、私も知識をアップデートするべく、尼崎市主催の研修「若者の社会参画とユースワーク」にオンライン参加しました。講師は日本福祉大学の専任講師の両角達平さん。ヨーロッパのユースワークを紹介しつつ、日本の課題についても触れる講演でした。

www.city.amagasaki.hyogo.jp

 そこで両角さんが言っていたのは、

「若者の社会参画」とは

  • 若者に関わるあらゆる事柄に関する共同の意思決定の機会に若者が参画し
  • 変化をもたらし
  • 若者の生活状況に影響を与える民主的な過程

である

ということでした。変化をもたらし、実際に生活に影響が及ぶことで、若者が社会参画の意義を見出し、ますます参画していくというサイクルが生まれていくというお話でした(行動科学の自己決定理論から、自分の人生を自分でコントロールできている感覚が幸福を感じる要素の一つだという説明もありました。)

 一方で、ロジャー・ハートの「参加のはしご」モデルを引用しつつ、主体的に関わる程度について言及され、お飾り参画や、見せかけだけの参画は非参画と位置付けるということも共有しました。

 ⑧の「子どもが着手しおとなとともに決定する」が最もよい関わり方というわけでもなく、意見しないという立場も尊重する必要があります。とはいえ、行政が若者の社会参画を推進するという立場から考えた場合、①~③の参画の形は避けるべき、と私は考えます。

ロジャーハートの参画のはしご(図は中森が作成)

自治体の取り組み。鳥取市「とっとり若者地方創生会議」

 近隣自治体でも、若者に役割や情報を与えて、調査やイベント企画を行ってもらうようなケースもあります。鳥取市の「とっとり若者地方創生会議」では、鳥取市の大学生たちが、地方創生の中心課題である若者の移住・定住やまちのにぎわいづくりをテーマに活動しています(下記のリンクで活動が見れます)。鳥取市やりますね。。

“とっとり若者地方創生会議”の令和4年度活動スタート|鳥取市

 鳥取市では、「若者による地方創生政策推進事業費」として、令和4年度55万1000円(市町村創生交付金9万円、自主財源46万1000円)を予算として計上しています。少し、事業概要を下記に引用します。

【「若者による地方創生政策推進事業」の内容・実績】

  • 調査・研究のため、様々な立場の方々とのワークショップや地域活動への参画を通じ、各委員の視野を広げ、事業実施を検討する。
  • 補助金を活用した事業を実施し、最終的に市が取り組む「若者定着を推進する事業」を市に提案する。
  • 市は、提案された事業の事業化又は既存事業への反映を行う。

 この事業の中で、若者たちが補助金を活用した事業を行っており、過去には、「企業まる見え!見学隊」、「イドバタ」(学生交流会)、「飛び込め!活動の環!~地域に踏み出すステップアップ交流会~」(学生の地域交流促進)といった事業を学生主体で行っています。

www.facebook.com

 こうした開催されたイベントや調査研究を通じて得た知見を、若者が報告書にまとめ、市に提案します。(提案の様子は、下記リンクから見れます。)ちなみに令和3年の提案書では、高校生による政策立案や高校生が市長に政策を提案する機会を作る、若者の社会参画をさらに促すような提言がなされいます。

とっとり若者地方創生会議(令和3年度)成果発表会を開催しました|鳥取市

とっとり若者地方創生会議(令和2年度)成果発表会を開催しました|鳥取市

 鳥取市の担当者に聞いたところ、こうした若者の提案から実際に提案が事業化されたというケースもあるようです。「鳥取市麒麟のまち圏域魅力発見支援事業補助金」という事業は、とっとり若者地方創生会議の調査で市内在住の学生が鳥取市の魅力などに触れる機会が少ないことが判明したため、それを解消しようとするものです。まさに、若者が意思決定の機会に関わり、変化がもたらされた事例といえます。

鳥取市・麒麟のまち圏域魅力発見支援事業補助金の募集について|鳥取市

 次の一般質問では、こうした事例を交えながら、町長に質問していこうと考えています。

 また、これらの事業を推し進めていくためには理念的なものが必要かと思います。愛知県新城市では、若者条例を作り、市の責務として若者が活躍できる施策を策定・実施していくことを明記しています。こういった条例の制定なども目指していきたいと思います。

令和4年11月22日一般質問通告書

 

9月定例会の議会報告を行いました。

こんにちは。鳥取も寒くなってきました。

11月26日(土)に恒例となった9月定例議会報告会を行いました。お相手は、兵庫県香美町議会議員の松岡大悟さんです。

 

YouTubeアーカイブも残っているので、ご関心がある方はぜひご視聴ください。
youtu.be


 

ゆりはま議会だよりvol.75ができました

決算紙面の見直し

こんにちは。湯梨浜町議会議員の中森です。

先日、ゆりはま議会だよりvol.75ができました。もうお手元に届いていますか?

下記リンクからも見れますので、ご確認ください。

https://www.yurihama.jp/uploaded/attachment/11594.pdf

今回は、議会事務局と一緒に決算紙面を見直しました。見やすい・わかりやすい議会だよりになるよう、これからも工夫していきます。

 

グーグルフォームで議会に意見を

今年も「住民と議会の意見交換会」は中止になりました。今年は、グーグルフォームで意見を送れるようになりましたので、下記にリンクを張っておきます。

forms.gle

来年は対面やインターネット上での意見交換ができるよう、議員間でも議論していきたいと思います。

 

一般質問項目にグラフとイラストを使用

私の一般質問の項目では、今回は写真ではなく、グラフやイラストを使ってみました。

ゆりはま議会だより第75号 P13

若者の町づくり・パートナーシップ宣誓制度について詳しく知りたい方は、過去の記事をご覧ください。

  • 若者の町づくりについて

  • パートナーシップ宣誓制度について

keijironakamori.hatenablog.com

 

あと、今回の湯梨浜町広報の「広報湯梨浜」の「原区共助交通の現在」というインタビュー記事もよかったですね。(あとはレイアウト・・・)

https://www.yurihama.jp/uploaded/attachment/11568.pdf

 

公的な証明がつまづきを取り除く

 

前回のブログでは、パートナーシップ宣誓制度についての町長の回答について書きました👇

keijironakamori.hatenablog.com

同性パートナーは医療行為の同意書を書けるのか

 今回のブログでは、一般質問の中で触れたLGBT当事者の方が置かれている状況などに触れていきたいと思います。

 一般質問の中では、主に医療面について指摘しました。例えば、同性パートナーが緊急搬送され、意識不明な場面。同性パートナーは医療行為の同意書を書くことができるのかという問題です。厚労省は、ガイドライン

「本人の意思確認ができない場合には、家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする」*1

とし、ガイドラインの解説編で

家族等とは(中略)法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人(親しい友人等)を含みますし、複数人存在することも考えられます。」*2

と記載しています。

 法律家の見解としては、ガイドラインの趣旨を考えれば、同性パートナーの医療同意は可能だと考えられます。一方で、医療同意をする方が本当に患者の同性パートナーであるかは、第三者である病院側にはわからないことや2人の関係を親族などにオープンにしていないことも多いため、困難なケースもあり得ます。

 地方自治体のパートナーシップ証明書は、2人の関係を証明することができるので、病院側も安心して、患者の家族として扱うことができると言われています*3

 こうした問題は、病状の説明や面会といった場面で出てきますが、パートナーシップ証明書で対応できます。

公的な証明がつまづきを取り除く

 ここまで読んだ方は、ふと思うかもしれません。「意識不明の重体になるときってそんなにある?そんなめったにないケースにしかパートナーシップ証明書を必要としないなら、そもそも必要ないのでは?」と🤔

 私も30代になって家を建てることになって住宅ローンや町の補助金を使ったり、こどもがこども園や小学校に行ったり(幸い大きな病気を患ったことはないですが・・・)して、人生のライフステージを進んでいます。

 家族や夫婦といった法的な関係性は、偶然の事故も含むライフステージの各所で前提となっています。前提なので、気づかない人の方が多いのではないでしょうか。

 住宅ローンについて、一般的な家庭の場合、夫婦の収入を合算して2人分の収入で審査してもらえますが、LGBTカップルの場合は、どちらか一方のみの名義のローン(つまり1人分の収入の審査)となります。現在では、みずほ銀行などがパートナー証明書をつかいLGBTカップルの収入合算を認めるようになりました*4。公的な証明の効果と言えます。

 こういった目に見えないつまづきが、病気・けが、子育て、老後といったライフステージに潜んでいます😵公的な証明はそうしたつまづきを解消するのに役立つはずです。

 まだまだ勉強不足ですが、民間、行政ともにこうしたつまづきを取り除けるよう、環境整備を進めていければ、だれもが暮らしやすい町に近づくのではないかと思います。

*1:医政局地域医療計画課在宅医療推進室(2018年3月)「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン総務省、URL:

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197701.pdf (参照日:2022年10月4日)

*2:

医政局地域医療計画課在宅医療推進室(2018年3月)「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編」総務省、URL:

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf(参照日:2022年10月4日)

*3:東京弁護士会 LGBT法務研究部編著『LGBT法律相談対応ガイド』[改訂版]第一法規

*4:行政書士 康純香『セクシャルマイノリティーのための法律がわかるハンドブック LGBTQの安心できる毎日を生きる8つの方法』なにわ出版