中森圭二郎のブログ

湯梨浜町町議会議員、中森圭二郎の活動報告

公的な証明がつまづきを取り除く

 

前回のブログでは、パートナーシップ宣誓制度についての町長の回答について書きました👇

keijironakamori.hatenablog.com

同性パートナーは医療行為の同意書を書けるのか

 今回のブログでは、一般質問の中で触れたLGBT当事者の方が置かれている状況などに触れていきたいと思います。

 一般質問の中では、主に医療面について指摘しました。例えば、同性パートナーが緊急搬送され、意識不明な場面。同性パートナーは医療行為の同意書を書くことができるのかという問題です。厚労省は、ガイドライン

「本人の意思確認ができない場合には、家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする」*1

とし、ガイドラインの解説編で

家族等とは(中略)法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人(親しい友人等)を含みますし、複数人存在することも考えられます。」*2

と記載しています。

 法律家の見解としては、ガイドラインの趣旨を考えれば、同性パートナーの医療同意は可能だと考えられます。一方で、医療同意をする方が本当に患者の同性パートナーであるかは、第三者である病院側にはわからないことや2人の関係を親族などにオープンにしていないことも多いため、困難なケースもあり得ます。

 地方自治体のパートナーシップ証明書は、2人の関係を証明することができるので、病院側も安心して、患者の家族として扱うことができると言われています*3

 こうした問題は、病状の説明や面会といった場面で出てきますが、パートナーシップ証明書で対応できます。

公的な証明がつまづきを取り除く

 ここまで読んだ方は、ふと思うかもしれません。「意識不明の重体になるときってそんなにある?そんなめったにないケースにしかパートナーシップ証明書を必要としないなら、そもそも必要ないのでは?」と🤔

 私も30代になって家を建てることになって住宅ローンや町の補助金を使ったり、こどもがこども園や小学校に行ったり(幸い大きな病気を患ったことはないですが・・・)して、人生のライフステージを進んでいます。

 家族や夫婦といった法的な関係性は、偶然の事故も含むライフステージの各所で前提となっています。前提なので、気づかない人の方が多いのではないでしょうか。

 住宅ローンについて、一般的な家庭の場合、夫婦の収入を合算して2人分の収入で審査してもらえますが、LGBTカップルの場合は、どちらか一方のみの名義のローン(つまり1人分の収入の審査)となります。現在では、みずほ銀行などがパートナー証明書をつかいLGBTカップルの収入合算を認めるようになりました*4。公的な証明の効果と言えます。

 こういった目に見えないつまづきが、病気・けが、子育て、老後といったライフステージに潜んでいます😵公的な証明はそうしたつまづきを解消するのに役立つはずです。

 まだまだ勉強不足ですが、民間、行政ともにこうしたつまづきを取り除けるよう、環境整備を進めていければ、だれもが暮らしやすい町に近づくのではないかと思います。

*1:医政局地域医療計画課在宅医療推進室(2018年3月)「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン総務省、URL:

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197701.pdf (参照日:2022年10月4日)

*2:

医政局地域医療計画課在宅医療推進室(2018年3月)「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編」総務省、URL:

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf(参照日:2022年10月4日)

*3:東京弁護士会 LGBT法務研究部編著『LGBT法律相談対応ガイド』[改訂版]第一法規

*4:行政書士 康純香『セクシャルマイノリティーのための法律がわかるハンドブック LGBTQの安心できる毎日を生きる8つの方法』なにわ出版